当直連携基盤  | 在宅医療・夜間休日往診支援

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VOICE

導入後の声

当直の負担が軽くなれば、診療所のチームビルディングにも時間を使える

【医療機関名】おうちの診療所

【所在地】

中野:〒165-0026東京都中野区新井1-24-4井上ビル1階

目黒:〒152-0031 東京都目黒区中根1-6-1ニューヨークコーナー161 4B

【代表者】

中野:院長 石井洋介

目黒:院長 伴正海

【ホームページ】

https://omniheal.jp/ouchino/

おうちの診療所は、東京都目黒区・中野区が拠点の在宅診療を主とする診療所だ。
それぞれの院長を務める石井洋介医師と伴正海医師を中心として、目黒院は2020年、中野院は2022年に開業した。
今回のインタビューでお話を伺ったのは、その代表である石井院長と伴院長。
おうちの診療所の医師としての活動にとどまらず、様々な取り組みで話題を集めるお二人。
どんな経歴を辿り、どんな経験を経て、現在の在宅医療現場に行き着いたのか。そして、経験豊富な両院長が、当社のサービスをどう活用しているのかについて尋ねてみた。

おうちの診療所 中野 院長 石井洋介(イシイヨウスケ)

高知大学卒。高知県の近森病院で初期研修後、横浜市立市民病院外科へ。IBD科医師として3年間勤務した後、厚生労働省医系技官を経て、現在はおうちの診療所 中野院長、株式会社omniheal代表取締役、秋葉原内科saveクリニック共同代表、日本うんこ学会会長。著書に『19歳で人工肛門、偏差値30の僕が医師になって考えたこと』(PHP研究所、2018年)など。

おうちの診療所 目黒 院長 伴正海(バンマサウミ)

横浜市立大学卒。主に高知県の中山間地域において総合診療医としてへき地医療に従事。同時期に県の医療提供体制の構築にも携わる。厚生労働省に医系技官として勤務した後、在宅診療所の立ち上げを志し、複数の診療所で在宅診療の経験を積む。2020年からおうちの診療所 目黒院長を務める。

左:当直連携基盤・中尾、中:おうちの診療所 中野・石井院長、右:おうちの診療所 目黒・伴院長

高知の研修医広報プロジェクト「コーチレジ」から、

二人の活動の歴史は始まった

当直連携基盤・代表取締役 中尾(以下、中尾) :

色々な取り組みをされているお二人なので、はじめにこれまで医師として辿ってきた軌跡についてお伺いします。
まず、お二人が知り合ったきっかけは何だったんでしょうか?


おうちの診療所 中野 石井院長(以下、石井): 

初期研修医からなので、歴史は深いですよ。

伴先生はおじいさんが高知にいた縁もあって、地域医療をやりたいということで高知県を初期研修先に選びました。僕は高知大にいたので、初期研修医として高知で出会ったんです。


中尾 :

そんなに早い時期からのお付き合いなんですね。


おうちの診療所 目黒 伴院長(以下、伴):

高知では、当然最初は知り合いがいなかったんですけど、石井先生が高知大の研修医をまとめるかたちで、研修初日に「みんなで飲みに行こう」と声掛けをしてくれました。そこでたくさん知り合いができたし、石井先生とも知り合ったんです。


中尾 :

石井先生はリーダー的なキャラクターだったんですね。


 

そうです。研修初日、全病院の研修医が高知大に集まった時に、石井先生が「研修医みんなのメーリス(メーリングリスト)作るから、アドレス書いてください」とルーズリーフをみんなに回していましたね。


石井 

病院の垣根を超えた初期研修医同士のつながりを作りたくて、初日にやろうって決めていたんです。初期研修医同士でその日に学んだ内容を共有し合ったり、勉強会や飲み会をするためにまずはメーリスを作りました。


中尾 :

研修医時代から、積極的に色々な取り組みをされていたんですよね。


石井 

僕たちが大学を出た2010年頃は、高知大医学部出身者がどんどん県外に出ていってしまい、地元に医師が残らない、という問題が起きていたんです。

僕自身はいろいろな病院を見学した結果、高知の医療も県外の病院に負けていないという実感があったので、高知で医療を良くしていきたかったんですけど、いくら僕が良い医療を目指しても、とにかく医師がいないと成立しない。

そこで、「コーチレジ」という団体を作って、高知県の臨床研修を広報する活動を始めました。

初期研修医が勝手にウェブサイトを作って情報発信したり、レジナビなどの合同説明会で自腹で作ったグッズを配ったりして、「高知県の初期研修はなんだか楽しそう」と思ってもらえるよう心掛けました。合同説明会では、各病院でブースを出すのではなく、高知県全体で1つのブースを出しました。さらに、各研修病院から来ている研修医たちが、自院以外の研修病院の特徴も説明できるよう、事前にレクチャーを受けてから臨み、来場者が相性の良さそうな研修病院を紹介できるようにしました。

そうしているうちに、結果として研修医の人数も倍くらいになって、土台医療が安定してきました。


中尾 :

それが、お二人で取り組んだ最初のプロジェクトだったんですね。


石井 

そうですね。

その後も、伴先生と僕と鈴木裕介先生という医師の3人が、高知医療再生機構という組織の特任医師というのを任せていただいて、継続的に高知県の医療をより良くするための企画・戦略立案や広報活動をしています。


臨床、政策、経営。それぞれのレイヤーを経験し、

俯瞰した視点で新しいチャレンジを

中尾 :

それから、石井先生の取り組みでインパクトがあるのが「日本うんこ学会」の創設ですよね。


石井 

僕は、医学部に入る前に潰瘍性大腸炎で大腸を全摘しています。その後医師を目指すきっかけにもなった、人工肛門をふさぐ手術をしてもらった横浜の病院に、後期研修に行きました。そこで消化器外科医として腕を磨く日々を送っていました。ただ、病院に来た時点で既にがんのステージが進んでいて、外科医の力ではどうしても助けられない患者さんにも出会うことになりました。

それをきっかけに、症状が出始めた段階で、患者さんがもっと早期に病院に来てくれるようなアプリを作ってみようと考えました。

大腸がんに早く気付くには、便の状態を観察することが大事なんです。

そこで、集まってくれたエンジニアやイラストレーターと一緒に、便の状態を報告すると戦いが有利になるキャラクターや武器が手に入るスマホゲーム「うんコレ」を開発しました。そのときに創設したのが「日本うんこ学会」です。

初期研修医不足にしろ、大腸がんの早期発見にしろ、臨床のスキルに、別のアプローチを加えると解決できることがあるんじゃないか、と考えていました。


中尾 :

仕組みだったり、全体設計というところを俯瞰してとらえていらっしゃるイメージですね。
その後、お二人はどういう進路を辿ったんでしょうか?


石井 

もともと僕たちは臨床現場からスタートして、診療という手段で医療の課題解決に取り組んでいました。

ただ、研修医の時に聞いた「医療には臨床・経営・政策(行政)のレイヤーがある。それぞれ視点が違うから3つの文脈を全体的に押さえておくといい」というアドバイスが印象に残っていて、気になっていました。


 

僕は行政に興味があって、石井先生は臨床に、先ほど話に出た医師仲間の鈴木先生は経営に興味を持って、それぞれの道を歩むことになりました。


石井 

異なるレイヤーで日々学んでいるから、会ったときにはそれぞれの角度からの情報が得られるんです。「臨床現場で見るとここが課題だと思うけれど、こういう政策が背景にあるから、経営でこんな意思決定がなされているんだ。それならここを直接課題にするのではなく、ここを狙った方がいいね」といった具合に、3人が別のレイヤーにいたおかげで、スムーズに理解できました。

そして、その後は伴先生が臨床に戻ったり、僕が経営に行ったりして、それぞれキャリアを行き来しながら各々で知識や情報を集めていきました。その過程で、今中尾さんがおっしゃったように俯瞰した視点が身についたんだと思います。


中尾 :

お三方それぞれが別々の経験を経て、また集まることになるわけですね?


石井 

そうですね。3人での活動で言うと、2018年に「秋葉原内科saveクリニック」というのを始めたのが、再集合の瞬間だったと言えますね。


中尾 :

saveクリニックも、チャレンジングな試みですよね。


石井 

普段お仕事などで病院になかなか行けない方向けに、平日の夜間や土曜日を中心に診療するクリニックをスモールスタートで始めました。


中尾 :

コストを下げて、ということですね。


石井 

そうです。1日数人診ればやっていけるくらいの小さな診療所にして、徹底的にコストを抑えました。

行政にいたからこそ、臨床現場でプレーヤーとしてやるべきことが見えた

中尾 :

それぞれのレイヤーを経て、今はお二人とも地域医療、在宅医療という臨床現場に戻ってきていますが、今までの経験からやはり現場にいたいとなったんでしょうか?


 

僕はもともと在宅や地域医療が好きでした。石井先生も、顔が見える医療をずっとやってきたんですよね。


石井 

厚生労働省の後のキャリアをどうしようか考えて、縁もあって僕が一足先に在宅医療診療所で働き始めました。

僕は、厚生労働省に配属されて2年目に、老健局という地域包括ケアシステムを作っている介護寄りの部署に移ったんです。

僕は臨床医としては外科で急性期の患者さんを主に診ていたので、まさに「救命救急24時」みたいな世界しか知らなくて、医療ってそういうものなんだと思っていました。

でも、老健局で仕事をしていると、この先はもっと身近で寄り添う医療をして、家で看取るということを増やしていかないと厳しい、という資料がたくさん出てくるんですよ。

急性期病院は看取りをする場所じゃないんだという感覚が新鮮で、でも同時に納得したんです。そこで在宅医療に興味を持ちました。


中尾 :

厚労省の仕事を始める前までは、在宅医療についてはあまり視野に入っていなかったんですね。


石井 

そうです。外科医として重症の患者さんを見ていて、退院してもらおうと思っても家族や施設が引き受けてくれずに自宅に戻れず、結局1ヶ月くらい退院できないというようなケースもあって、「手術を了承したのは家族なのに、どうして引き取ってくれないんだろう」という思いを抱いたこともありました。

なので、厚労省に行く前から患者さんが在宅に戻れないことに課題感は持っていたんですが、それは制度の問題だと思っていました。それで、厚労省に行ってみることに決めたんです。


中尾 :

厚労省で働いてみて、実際に問題を感じたのはどこだったのでしょうか?


石井 

結論としては、「プレーヤーが足りない」ということでした。

ここから先、団塊の世代が高齢になってきて、都市圏や大型病院があるようなところを中心に患者さんが増える時期がきます。

そこで患者さんを大規模に診る仕組みを、プレーヤーとして作らないと間に合わないんじゃないか、ということを考えるようになりました。


 

厚労省の中にいて、逆に臨床現場側から仕組みを作る術を学びましたね。
結局のところ、現場にあるものや現場でやっていることをどう一般化するか、というのが大事だとわかったんです。
それなら、現場でやることを一般化できるように考えながら作っていくのが早いだろう、となりました。


石井 

厚労省で政策を作ろうと思っても、その種になるものがないと始まらないので、種を作る側に回った方が良いんじゃないかということですね。


 

厚労省にいたことで、その種をどこに持ち込めば意思決定の場に上げてもらえるかという感覚も掴めましたしね。


中尾 :

なるほど。では現場にいても、その先の日本医療の制度や仕組みのところを見ているんですね。


石井 

そこまでいけたらいいな、ということは意識しています。


当直連携基盤を活用することで、

医師同士のチームミーティング合宿が初めて実現

中尾 :

では、ここから当社のお話を聞かせてください。当直連携基盤のことを知って、利用してみようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?


石井 

当時、僕と伴先生を含め医師4人でやっていたんです。看護師の人数も少なくて、とにかく医師が頑張る、という方針で回している状態でした。


 

ちょうどその時、精神科の先生が当直を辞めるという話になっていて、さらに負担が増えかかっていたんですよ。


石井 

僕らもなかなか休みが取れなかったり、今のようにチームで丸一日ミーティングをしたりワークショップをするような機会も作ることができていませんでした。オンコールだと誰かが常にいないといけないので、結局クリニックの医師が全員チームビルディングに関わる日も設けられないんです。

そんな時に、たまたまFAXで当直連携基盤さんのサービスを知って、試してみることにしました。


 

土日だと日中も対応してもらえるので、それを利用して先日も日曜日にチームビルディングの日を設けることができました。


中尾 :

実際に当社のサービスをご利用いただくにあたって、特に気にされたのはどんな点でしたか?


 

コンテクスト、つまり患者さんとのそれまでの関係性とやりとりの流れなどを、どのくらい汲んでもらえるのか、ということですね。


石井 

在宅医療って、そこまで作り上げてきた流れが大切ですよね。単発の救急医療だとお互いに初めてで1回限りの関係性でもいいのですが、在宅だとそれまでの流れがあって、そこに一時的に入り込む形になるので難しいだろうな、と。


でも、僕らが日中きちんと患者さんに話をして、薬もしっかり用意しておいて、といった具合に全部を準備できていて、かつ来てくれる先生にもきちんと希望を伝えておけば、それで大丈夫だろうと思ってお任せすることにしたんです。


 

あとは、連携医療機関としてお世話になっている他クリニックの先生も当直連携基盤さんを活用していたので相談してみたんです。すると、すごく対応が丁寧だと教えてもらえて、心理的なハードルは下がりましたね。

診療所側の準備と仕組みづくりが、

期待通りのサービスを提供してもらう鍵

中尾 :

実際に利用していただいて、懸念されていたコンテクストの部分を含め、どの程度期待していた通りに運用できましたか?


石井 

ある日の夜中に、ある患者さんがお看取り直前という状態になって、そこの施設の方が介護士さんしかいないから不安だということで連絡をもらいました。

酸素の流量などはあらかじめ調節済みだったので、下顎呼吸が始まっている状態で医師が往診してもできることはあまりないと予想され、往診をするかどうか悩んだのですが、ご家族や施設の方が心配そうだったので、当直連携基盤の先生に行ってもらうことにしました。

これまでの経緯を説明し、「何かできることがないかを探して、必要な処置がもしあればお願いします」と依頼したところ、やれることはやはりあまりなかったものの、医師が直接足を運んでくれたという事実がご家族や介護士さんに安心感を与えられたようで、助かりました。

翌日お看取りになったのですが、おかげさまで僕が行った時にはスムーズで、施設の方々からも患者さんのご家族からも「ありがとうございます」と言っていただけました。


 

どんな方針で対応してほしいか、ということをカルテの方に僕たちが残しておくと、きちんと見てもらえるので助かります。
場合によっては、現地から連絡がほしい、という要望を出すことで、現地で当直の先生に診てもらいながらディスカッションして、重たい意思決定をこちらで引き受ける、ということもできますよね。


石井 

そういうふうに活用すればコンテクストのずれが生じないので、的外れな意思決定になる心配もありません。


中尾 :

運用方法も工夫しながらご活用いただいているんですね。ありがたいです。


石井 

当直連携基盤さんのサービスのクオリティは十分だと思うので、あとは使う側の決めごと次第なのかなと思っています。
例えば、家事代行やベビーシッターさんを使う時にも、自分が家事や育児をやったことがないと、明確に指示もできないじゃないですか。
きちんと仕組みを作って依頼できていると、当直の先生も迷わず仕事ができて、こちらの期待通りの働きをしてもらえる。そういうものなんだと思います。


中尾 :

ありがとうございます。

 

 

当直医の負担を軽減して在宅医療を広めるために、

これからますます求められていくサービス

中尾 : 

厚労省を含め幅広いポジションを経験されたお二人に、当直連携基盤のサービスが医療業界でどう受け止められていくか、ご意見をお聞きしたいです。


石井 

この先、必ずニーズが増えていくサービスですよ。
確かに、全国各地で同じようにやるのは難しいと思うんです。そもそも在宅医療自体、例えば高知のように住宅が点在しているような地方だと、全域をカバーするというのが現実的ではないですからね。


 

診療所から片道90分かかるような家もあるので、そういう場所にお住まいの患者さんは在宅でのお看取りはやはり厳しいですしね。


石井 

なので、地方ではどうしても在宅でやりきれない部分があったとしても、少なくとも都市部だけでも当直連携基盤のようなサービスがあることで病院の数を増やさずに対応できる範囲が広がるなら、それはとても良いことだと思います。


 

在宅医療への思いが強いベテランの先生でも、一人で当直をやっていると何をしていても急にお看取りに呼ばれることになるので、やはりいつか気持ちが切れてしまう時がくる、というお話を聞いたこともあります。
実際に、僕自身も50歳くらいになっても同じ働き方を続けるのはつらいので、このサービスがなければ早めに身を引く方がいいのかなと考えると思うんですよね。


中尾 

先日お話ししたある先生には、「このまま仕事をしていたら50歳で倒れてしまうと思っていたけど、当直連携基盤を利用することで100歳まで生きられそう」とおっしゃっていました。もちろんプレッシャーもありますけど、そう思っていただけるのはありがたいですね。


石井 

経営面から言っても、在宅診療所って200人くらい患者さんがいたとしても、当直医を1人雇うのが厳しいんです。なので、仕組みとして当直医のリソースをシェアできるのは助かりますよ。


中尾 

非常に興味深いお話もたくさんお伺いできて、私としても参考になりました。
本日は、本当にありがとうございました。

 

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